秋季集会参加者の声
 2006年文教研秋季集会が11月19日(日)午後、川崎・武蔵小杉中小企業婦人会館ミーティングホールで開かれました。「我慢にも限度がある――ケストナー『消え失せた密画』を読み合う」という統一テーマのもとに、『消え失せた密画』(創元推理文庫)の検討を行いました。終了後参加者の方々にお願いしたアンケートの中から、集会に対する感想のいくつかご紹介します。 (2006.12.5)

一つの作品をじっくり読むのは久しぶりだったので、楽しかったです。勉強になりました。(Y.Y.さん、 女性)

自らが感じたことについて真剣に主張したりしているのは、見ていて本当に楽しそうでした。
 全てを読んでから参加できなかったのでっこの話し合いに参加できなくて残念だった。
(I.D.さん、 男性)
ひとりだけではできなかった読みの構えが、しっかりとできたように思います。これから、どれだけ読み深められるか。読み違えていたこともあったので、どこまでなおせるか、やってみようと思います。(N.T.さん、 女性)
 ○盗賊団の面々が、悪に徹しきれないというか、泥棒稼業のプロとして未成熟というか、素人っぽいというか、それ故にどこか善良で愛嬌があって人間的で魅力を感じます。特に子分の方々に。この作品を安心して読めるのも、何となしに泥棒達が抜けていてユーモラスだからなのかもしれません。
○ メンバーの方々の読みの精度と、その深さに触れる度に、読み流している場面が多いなあと反省させられます。わからないところ、意味の不明なところ、イメージのわからないところを決してごまかさないですよね。
○ 一目見て悪党と分かる悪党(p.83 l.13)なんて可愛いもので、本当の悪ではないと思います。
○ 作者の言葉の裏に込められた皮肉や風刺に気づかないところが多々あったので、勉強させられました。
○ この作品の事実上の主人公は、敵も味方もあざむき通し、我が身を危険にさらしながら味方を守り続けるザイラー(シトルーフェ氏)だと思います。人間の本質を鋭く見抜く知性を持ちながら、同時に、人間の善意や良心に敬意を抱き、べとつかずに(距離感を保ちながら)寄り添う温かい心を持っている。ただ頭が切れるだけでなく、心が温かく、ユーモアと機知にあふれ肝っ玉もすわっている。なかなか一人の人間の中に同居しづらい性質を、三拍子も四拍子もそろえている人物だと思いました。ケストナーの理想というよりも、ケストナーそのものなのかもしれません。
○ 推理小説はあまりというか、ほとんど読んだことがないので、一回目に読んだ時はなかなか作者の頭の回転の速さについていけず、二回目にやっとわかったような気持になれました。
(K.N.さん、 男性)
 このながさ(分量)を半日でというのは、ほんとうに大変です。どういう方向へ行くのか、いつもながらその過程を楽しみました。もちろん、この会が終わったときが、はじまりですよね。
 私はどうして文教研の集会にいつも来るんだろうかと疑問(?)を感じつつ、なんとなく抜けられないのは、どうしてなのでしょうね。ケストナーを読み解くよりも難しい問題です。
 来年の夏の集会に、きっとまた参加するんだなと思いつつ。
(M.A.さん、 女性)
 忙しい職場へ転職した自分へ、S先生より、「仕事も大変だと思いますが今だからこそこの作品を読みなさい」と助言をいただき、読みました。
 毎日、新しいことを知り、勉強の毎日ですが、「何でだろう?」と思うこともたくさんあります。今回参加する中で、“人間らしい感受性、真の自分らしさ”ということばに胸がじんときました。自分の中に、キュルツのような単純な部分がきっとあります。ザイラーのように考え抜いて大切なことを守り抜く力があるだろうか、深く考えさせられました。
 ナチスなどでなくても、「鋳型」は世の中にたくさんあります。力と意思を失わずに生活したいと思います。
 どうもありがとうございました。(S.N.さん、 女性)

アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。

(タイトル背景写真はM.T.さん提供、画面背景写真はN.N.さん提供。)

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