多くの参加者を得て無事終了することができました。ありがとうございました。 |
2004年文教研秋季集会のご案内 |
文教研秋季集会はどなたにもご参加いただける公開研究集会です。1993年に最初の集会を持って以来、毎年、絵本や子供向けの文学作品を中心に取り上げてきました。とりわけ1998年以降はケストナーの作品と集中的に取り組んできており、今回はある意味でその締めくくりの意味を持つ集会になりそうです。 また、本年11月には文教研の集団的著作である『ケストナー文学探検地図』が刊行される予定になっていますので、それに合わせ2004年の秋季集会は新著の出版記念集会のかたちで開催されます。 『飛ぶ教室』をケストナー文学の全体像の中に位置づけてみたとき、どのような面がまた新たに見えてくるのでしょうか。集会での話し合いが実り豊かなものになることを期待したいと思います。 |
『ケストナー文学探検地図――「飛ぶ教室」/「動物会議」の世界』 出版記念集会 |
【統一テーマ】 今、日本の子どもたちにとって、「人生」とはどのようなものでしょうか。「友だち」とは、そして、私たち「大人」は、彼らにとってどんな存在であるでしょう。 子どもたちの中にある「いらだち」「むかつき」「不安」。さらに今、「恐れ」「恐怖」という強い言葉で表さなければならないほどの緊張が彼らを襲っていると言います。自分がいつ攻撃の対象にされ、はずされるか分からない。一度競争から脱落したら、その先人生はどうなるのか……。大人は、どれだけその心の痛みを理解しているでしょう。 ケストナーの言葉でいえば、どれだけ自分自身の子ども時代を忘れないでいるでしょう。 ケストナーは目の前の子どもたちへ、人生の厳しさと喜びのあり方とを、嘘いつわりなく語りました。『飛ぶ教室』のまえがきにはこうあります。「子どもの涙はけっしておとなの涙より小さいものではなく、おとなの涙より重いことだって、めずらしくありません。」人生の真剣さにおいて、大人と子どもに隔たりはない。そこで大切なことは「骨のずいまで正直で」あることだ。 この作品が出版されたのは、1933年の11月と考えられます(その点、是非、今回出版著書の『飛ぶ教室』座談会をご覧下さい)。ナチス政権下、人々の「良心」をゆがめつつ、時代の歯車が少しずつまかれていく中で、ケストナーが子どもたちに訴えかけた真剣な人生。そこには与えられた人生の課題から目をそらさない子どもたち、自分の頭で考え、悩み、仲間とともに行動する子どもたち、尊敬し信頼し愛することのできる大人との関係を持った子どもたちが登場します。 今、子どもたちが必要としているもの、今、私たち大人が失っているものは、実はこうした人間のイメージなのではないでしょうか。人生の悲しみや苦しみと向き合い、本当に信頼できる人間を自分の力で発見し、将来を夢見る子ども像、そして、それを心の底から応援できる大人の姿です。 ケストナーは、人生には「お手本」が必要だと言います。人間は希望がなければ生きていけません。今、私たちはその「お手本」を失ってはいないでしょうか。豊かな人生への「お手本」を、この『飛ぶ教室』という作品は確かに示してくれると思います。 文教研は1998年秋季集会にこの『飛ぶ教室』を取り上げてから継続的にケストナー文学と取り組んできました。そして、今次集会、その集団研究の成果を出版できる運びとなりました。この本を通して一人でも多くの方にケストナー文学と出会えていただけたら、私たちにとってこんな幸せはありません。 |
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もどり
《ゼミナール》 ケストナー『飛ぶ教室』の印象の追跡 チューター:井筒 満、 高澤健三 |
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■テキスト エーリヒ・ケストナー作『飛ぶ教室』 (高橋健二訳 岩波書店 ケストナー少年文学全集 4) ※テキストはご持参下さい。 (受付 12:30より。なるべく12:50までにご入場ください。) ■会 場 横浜・神奈川近代文学館 展示館2階ホール (「港の見える丘公園」内。みなとみらい線終点「元町・中華街」駅下車、 5番出口より谷戸坂を上り「港の見える丘公園」方面へ徒歩10分) ■参加費 一般 2,000円 学生 1,000円 ■申込み締切り 11月7日 ■申込み手続き お送りする申込用紙(兼、振込用紙)に必要事項を記入し、 参加費を郵便局でお振込みください。 ■問い合わせ、および申込み先 |
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-----------多くの方のご参加をお待ちしています。----------- |
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‖秋季集会の歩み‖秋季集会呼びかけ‖ケストナーとどう取り組んできたか‖2003年集会参加者の声‖ |