文学と教育 ミニ事典
  
思 想 
 ○ 僕が思想といっているのは、単にイデオロギーじゃなくて、むしろプシコ・イデオロギーにかかわる、ひと纏まりの実感の体系のことなんです。行動の系に直結している、そういう主体的なもののことを言うわけなのです。〔1978年、熊谷孝著『井伏鱒二――〈講演と対談〉』 p.124〕


 ○ 人びとの行動を動機づけ、その実践の方向を規制するところの行動の系は、彼ら自身の実感構造に直結している。そのような実感の体系を“思想”と呼ぶことは、観念を思想と言いならわして来ている、多くの人びとの実感を満足させえないかもしれない。が、しかし、この実感のシステムということが本来の意味での思想ということだろう。だからして、その意味では、その人の実践を規制するものはその人自身の思想である、ということになるだろう。芸術家の芸術的実践のありようを規制するものも、したがってまた、ただの観念ではなくて、豊かなイメージを伴なった思想である、と言わなくてはならない。〔1973年、熊谷孝著『芸術の論理』p.111〕



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