文学と教育 ミニ事典
  
読者/鑑賞者
 読者鑑賞者の果たす機能・役割は、学習者とか受講者というものにどこか付き纏って離れない、 教育者としてのパッシヴなものを越えている。それは、作者=送り手による表現の〈送り内容〉を、いわば〈受け内容〉としてその表現を完結させる、創造への積極的なコミティー(参加者)としての機能であり、役割である。鑑賞者次第で作品がさまになったり、ならなかったり、と言ったのは、そのことなのである。
 それゆえに、芸術の創造・表現に対する受け手の主体の責任が問われねばならないのである。また、それゆえに、受け手の芸術認識論ないし芸術の原点の把握に関して、その自意識と無意識との間のギャップは埋められる必要があるのだ。(ここに言う、無意識云々――「自意識にもたらされない意識内容」というほどの意味である。フロイト的ないし精神分析的な意味での無意識のことではない。右、念のため。)〔1973年、熊谷孝著『芸術の論理』p.5〕



〔関連項目〕


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