文学と教育 ミニ事典
  
文体づくりの国語教育
 一口に言うと次のようなことである。国語教育は、国語で 事物や事物の意味をつかむ、そのつかみかた をつかませる作業であると同時に、国語を つかみとらせる教育活動である。いわば国語そのものを――である。国語そのものがつかめていなくては、国語で事物の意味をつかませることはできない。ところで、国語そのもの とは何かと言えば、一般にそう考えられているように――国語教師さえもがそう考えがちであるような――語彙や文法や文型に関する記号的知識のことではない。それは、知覚や思考や想像という形で人間の認識過程に立ちあらわれる現実把握がそこにつかみとった言葉のありかた、すなわち“文体”という視点でとらえられた言葉のありかたのこと以外ではない。国語教育は、国語そのものの教育活動の体系として“文体づくり”の意識において構想される必要がある、と私たちが主張する理由である。1970年、文教研著『文学教育の構造化』p.5〕
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