文学と教育 ミニ事典
  
文学史意識
 わたしたちは、総合読みの(…)基本的特性を重視すればこそ、教材群を組織し、教材体系を確立することが総合読みの欠きえない大前提であると考える。ある作家のものを継続的に読みすすめる学習、また、違った作家の作品をつないで対比して考えることも、そのことで文学史意識をはぐくむことも、総合読みの(…)基本的特性に即した発想と結びついているのである。なお、ここでいう“文学史意識”とは、文学史に対する静的な知識を意味しない。民族の現実性と可能性へ向けてのイマジネーティヴな発想の軌跡を追跡することで、とぎすまされた文学の眼をはぐくもう、というのである。それは、人間疎外の状況のもとで、自他の連帯の通路を発見し、開拓しうる意識であり、文学史に媒介された文体意識のことである。〔1970年、文教研著『文学教育の構造化』p.26〕  

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