文学と教育 ミニ事典
  
文学のコミュニケーション
 言語形象による文学の表現、文学のコミュニケーションというものは、一般を対象とした訴え、呼びかけといったものではありません。文学は一般性(ジェネラリティー)に属してはおりません。ジェネラル(一般的)ではなくて、かつまた単にスペシャル(特殊的)なのでもなく、プシコ・イデオロギーというか生活感覚というか、実人生をどう生きるかという発想の面で通じ合えるものを持つ相手に対しては何らか訴えるものがあるという、そういうユニヴァーサル(普遍的)なもの、つまり普遍性(ユニヴァーサリティー)をもつものだ、と思うのです。井伏文学の、この場合の『多甚古村』の諷刺性というものは、そういうユニヴァーサルな、真に文学的な意味での諷刺・批判なんだと思います。〔1978年、熊谷孝著『井伏鱒二――〈講演と対談〉』 p.35-36〕
   

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