初期機関誌から
「文学と教育」第7号 1959年5月11日発行 |
四月研究例会の問題点 |
1. 科学と文学における否定の問題。両者における共通なものと異質なものとの相関関係。(なお、否定といってもピンからキリまである。ぶちこわし、いやがらせのような低い否定もあれば、媒介、アウフ・ヘーベンのように、発展の契機をはらんだ否定もある。文学と科学における否定が後者であることはいうまでもない。 2. 内なる読者と作家との関係、仲間の体験をくぐって形成された自己、反映像としての自己が心の仲間と考える。どういう仲間の体験と語りあうか。……文学の創造は、作家の自己変革の過程でのみ実現される。 3. 『桜の園』の場合―― 解放へのエネルギーが読みとれるかどうか、ラネーフスカヤ夫人への感動はどういう性質のものか、共感する、共感しない、あるいは面白い、つまらないというとき、どういう翻訳がなされているか。 『桜の園』における本来の観客層と、その後の変遷。それら享受者層のあり方に規定される表現の問題。 ○ おねがい 毎月のこの報告、並びに問題点につきまして、会に参加できなかった会員は誌上討論をお願いします。 四月研究例会――4.11(土) 午後六時半 司 会 篠原由喜子 福田隆義 報 告 木村敬太郎 出 席 (十一名 略) |
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