2015年文教研秋季集会が11月22日(日)午後、下北沢・北沢タウンホールで開かれました。
テーマは《人間として生きるための<対話>――井上ひさし「父と暮せば」教材化への試み》
集会終了後参加者からアンケートにこたえて寄せられた感想を紹介します。 (2015.11.29)
  
■ありがとうございました。いろいろな所で、表現されている井上ひさしの意図を気づくことができました。あらためて、井上さんの生き方、作品に結ばれた思いを思いました。
 「今」につながるような文学体験を創り、また、「今」を考える生徒たちに少しでも関われるよう、自分お元気をいただきました。 (U.Y.さん 女性)                     


■とてもよかったです。前回、全国集会でやったこととは全く違った新鮮な感動を持ちました。井筒氏のチューターの提言には、いつも目を覚まされます。
シールズの活動には、若い感覚とエネルギッシュな声、行動力に励まされます。
竹造と美津江の対話、とてもすてきでした。また、新しい気持ちで物事を考えてけそうです!
(今のテーマは「アベ政治を許さない」)(N.S.さん 女性)


■例会に出ていないと分かりにくい発言もありましたが、文教研ならではの作品理解・評価の視点が明確に打ち出されたように思います。話題提供された方々の<私>を通した発言を聞きながら、日常の自分を、そして周囲の方々の発言や行動を想起しました。教材化は<決意>次第だ、というのは少々乱暴な感じもしますが、私たちへの呼びかけの強さと受け止めます。ありがとうございました。(H.M.さん 男性)


■ありがとうございました。笑いのありようと現実のつきつける緊張感の中で、真に人間らしく生きるとは、ということを考えさせられる会でした。(Y.N.さん 女性) 


■悲しいこを、辛いこと、これを見つめ続けるのは大変に苦しいことです。それでもそれは必要なこと。だからこそ笑いが必要なのでしょう。人間的な笑いが必要。授業でも。
私はつい直球で考えるべき悲しいこと、辛いことを生徒に投げつけてしまいます。笑いが必要、暖かい人間的な笑いが。授業にも。今日はそれを実感。
ありがとうございました。(W.M.さん 男性) 



*以下、A.R.さん(女性)から後日メールで届いたものです。

■舞台を見たときの感動、イメージ、が最初は強かったのですが、今日読み合っていて、徐々にテキストの言葉、世界、に引き込まれていきました。

 感情も思考も希望もすべて封じ込めなければ生きていけなかった3年間。その壮絶な年月を、今日以前よりもより深く思いを至らせるようになった気がします。
 そこに「恋」が芽生え始めて、葛藤が生まれる。お父さんが対話の相手になっていく。死者であり自分が救えなかったお父さんとの対話。「恋(生きること)」という希望が生まれようとしているからこその葛藤であり、死者との対話であったのだなあ、と思います。それ自体、とても厳しい対話であるけれども、あたたかい父子関係がそれを支えてくれもし、彼女の誠実さと教養(培われたユーモアも)、そして死者たちからのエールがその対話をやり遂げさせたのだなあ、ということも今日より深く感じられたと思います。
 希望が芽生えようとしているからこそ、憎しみもまた鮮烈に生まれる。原爆の一寸法師の話は、まさに彼女の解放されようとしている感情とともにあるように思いました。その爆発的な憎しみ、怒りは、彼女自身を壊すものでもあるけれど、自分自身だけに向けられていた怒りが、ほんとうに向けられるべきものにベクトルが向き始めている、ということだったんだなあ、と今日改めて感じたことでした。
 感情も思考も回復していく、その道筋が、決して簡単なものではないこと、地獄をもう一度通りながらのことであること。けれども、お父さんとの真の対話は、お父さんだけでなく多くの死者との対話になっていき、生きて幸せを求めていくことのなかに死者とともに生きる道があることを彼女はつかんでいく・・・
 読んでいる私たちも、いつの間にかお父さんとともに彼女にエールを送っているのだと思います。けれど、ときどきに示される原爆の現実に、彼女の深い苦しみの前に、立ちすくむ。お父さんに、多くの死者たちに、美津江に、つながれるだろうか。それはやっぱり、今の私自身がどうあるか、にかかっているんだな、って思わされるのでした。
 そこからまた最初の井筒さんのお話に思いをはせたりすることになるわけですね。

 とても複雑でダイナミックな構造を読み深めていくことの面白さ、けれども決して難解なのではなく、笑って涙しながら深く胸に刻まれていく。すごいなあ、って思いました。今日の文教研の印象の追跡そのものも、そんな構造になってましたね~!!
 またぜひ「父と暮らせば」の舞台も観に行こうと思いました。
 ありがとうございました!!
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