2012年 文教研秋季集会 ご案内     [集会要項]

 思索と行為と―不可能を可能にするために

森鷗外「最後の一句」を読む
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 大逆事件(1910~1911)は、日露戦争以降、盛んになりはじめた社会主義運動を芽のうちにつみ取り、民権を徹底的に弾圧するために、政府・検察・裁判所三者一体の共謀によって仕組まれた事件でした。この事件に深い関心を寄せた鷗外は、次のように書いています。
 「無政府主義と、それと一緒に芽ざした社会主義との排斥をするために
(中略)学問の自由研究と芸術の自由発展とを妨げる国は栄えるはずがない」。(「文芸の主義」/1911<明治44>年4月)
 また、この時期、鷗外は、自己の文学精神を “あそび” という言葉に託して語るようになります。鷗外の言う “あそび” の精神とは、大逆事件を契機に以後ますます激しさを加えて行くであろう体制側のしめつけとそれがもたらす悪現実の中で、息切れせずにねばり強く闘っていくための精神の営為・精神のありようを意味しています。そして、そのような文学精神によって創造されたのが、鷗外の一連の歴史小説であり、「最後の一句」はその中の一篇です。
 息切れせずに粘り強く闘い続ける柔軟な精神。それは、様々な<脅し文句>に惑わされず、本当に大切なものは何かを見失わない精神であり、また、対話し考え合おうという姿勢を持続的なものにしてくれる精神でもあるでしょう。
 こうした <あそび> の精神(文学精神)は、今日の現実を生きる私たちにとってどういう意味をもつのか。「最後の一句」を読みながら話し合いたいと思います。


集会要項 
《ゼミナール》 森鷗外「最後の一句」の印象の追跡

主 催 文学教育研究者集団 (URL:http://homepage2.nifty.com/bunkyoken/ )
日 時 2012年11月25日(日) PM1:00~6:00受付 12:30~)
会 場 北沢タウンホール(北沢区民会館) ミーティングルーム(3F 第三集会室)
            東京都世田谷区北沢2-8-18 (TEL 03-5478-8006)              
小田急線/井の頭線 下北沢駅下車、南口から徒歩4分
(小田急線新宿から急行7分、各停10分、あるいは、井の頭線渋谷から急行3分、各停5分)
北沢タウンホール交通アクセス
テキスト    ※テキストは当日配布いたしますが、お手持ちのもので事前にお目通しください。
          
 「最後の一句」は、新潮文庫「山椒大夫・高瀬舟」、 角川文庫「山椒大夫・高瀬舟・阿部一族」などに
            収録されています。
集会参加費   一般 2,000円 (学生 1,000円)
申込み手続き 
申込み用紙(振込用紙を兼ねる)は事務局にご請求ください。
・申込み用紙に必要な事項を記入し、集会参加費を郵便局でお振込みください。
締切日     11月19日(月)

問い合わせ、および申込み先 
    文教研事務局
                   

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