N さんの例会・集会リポート  
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  「福田隆義さんを偲ぶ」会 (3.28)  
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文教研のNです。

報告が遅くなりました。「福田隆義さんを偲ぶ」会
春合宿二日目、3月28日の夜、初代文教研委員長「福田隆義さんを偲ぶ」会が行われました。
いつもの八王子・大学セミナーハウスの会議室、夕方まで一緒に学習していた仲間と同じ場所で心のこもった会となりました。
Siさんが福田さんの全国集会での写真を引き伸ばして持ってきてくれたので、久しぶりに福田さんと席を並べる春合宿です。

この会の詳細は、いずれ皆さんにお知らせできる機会もあるかと思います。
今回は全体の流れとお二人の方の印象的な言葉を紹介し、会の雰囲気をお伝えできればと思います。
最初に福田さんのお仕事と人生に敬意を表しみんなで献杯しました。
2時間ほどの時間で、出来るだけ時間を気にせずに話していただこうと思いましたので、結果的にお話いただいたのは以下の方々でした。
創立以来、事務局長としてともに歩んでいらしたAさん、長きに渡って編集長として活躍されたSuさん、二代目委員長のNaさん、ともに「歴史的時間」を闘ってこられたSiさん、小学校教師の先輩後輩として〈児童文学の会〉を持たれてきたNiさん、そして、年の離れた後輩・現役小学校教員であり、かつ広島の事務局として文教研を支えてきたNaさん、最後に現委員長のI さんです。
「文教研神話時代」のSaさんと、福田さんに「あこがれ」続けてきたArさんからは手紙をいただき、皆さんに紹介しました。

「福田隆義さんを偲ぶ」会まず、Suさんの心に刻まれた、福田さんの二つの姿についてです。
「彼はとてもハンチングが好きでよくかぶっていました。」
「僕も借りてかぶってみたことがあるけれど、僕じゃ あんなふうにはかぶれない。あの人は本当にハンチングの似合う“労働者”だった。」
(瞬間、イタリア・ネオリアリズムのセピア色の一場面、画面に向かって笑いかける若い労働者の姿がはっきりと眼に浮かびました。)

そして、もう一つの姿として語られたのは、「背筋のピンと伸びた“内務士官”」というイメージでした。
この言葉に対しては、Siさんが「そのたとえは、ぴったりではないんじゃないですか」とすかさず反論しました。
軍国主義と戦後民主主義とを経験した世代としてその歴史的な反省に常に立って生きてきた、
そして、どんな時も相手に対して言葉を発するところから始める、そんなSiさんらしいすばやい反応でした。
しかし、そこはさすがに言葉を選び抜いているSuさんは、一歩も引くことなく、
「内務士官にも色々な人間がいる。初年兵はそれをすぐに見分けます。そんな中で、わたしの場合、出会ったのは頼りになる上官だった。戦場に出たとき、下っ端を前線に出して自分だけ何とか生き残ろうとする人間は沢山いる。でも、彼の場合は、この人も自分たちと一緒に死んでくれる、と思わせる人だった。そういう“内務士官”、そのイメージなんです。」
と、そう念を押されました。

このお話と同時に、Suさんが「彼はいつもきちんとした歩幅で生きていた」といわれたことも、
例会がそれぞれの職場で行われた頃の思い出として「彼がかかわった学校は、どこも福田色だった」と話されたことも心に残りました。

もう一人は、最後に話した現委員長の I さんです。
 I さんは福田さんのその研究態度について、こう話されました。
考えたことを言葉に出し、真剣に考え、変わっていく。
そして、最後まで変わらないで貫くものを持ち続ける。
福田さんのメンタリティー、あれこそ戦後民主主義が生み出した、最も優れたメンタリティー、品格のあるメンタリティーなのだ、それを体現していたのが福田さんだったのだ、と。

実はその手前ではこんなことがありました。
Arさんの手紙を紹介した折、大事な思い出として自転車の後ろに乗せてもらったというエピソードが書かれていました。
進行担当だった私が「実は私も」と名乗り出、どちらも20代の頃の話とて「えこひいきが嫌い」な福田さんはあちこちで「若い女の子」を自転車に乗せていたことになる、という事態に。私の話は哲学ゼミの帰りのことだったので、それを聞いた I さんは「俺だって毎回休まず哲学ゼミに出ていたけど、一度だって乗せてもらったことはないぞ!」と立ち上がり、一時会場は“騒然”となりました。

などなど、どういう趣旨でエピソードを並べているか若干あやふやになってきましたが、
ともかくそんな具合で、その他沢山の印象的なエピソードやお話を聞きながら、笑ったり涙したりした会でした。

福田先生、今まで本当にありがとうございました。
どうぞこれからも私たちを見守ってください。


〈文教研メール〉2009.4.5 より


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