文教研のプロフィール

1969年11月 日本民間教育研究団体連合会編「日本の民間教育」第5集(1969.11.10)掲載  


主 張
「日本の民間教育」第5集
 私たちは、自分の“ことば”で考え、自分の“発想”で現実をつかみなおしていくような人間、つまり“文体”のある人間を育てたいと考えます。そういう人間を育てる、国語教育・文学教育の理論と実践の研究を積み重ねています。
 ことばを「上意下達」の道具と考え、「期待される人間像」の方向に、子どもたちを飼いならそうというのが、指導要領の言語観・国語教育観であると思います。「権力」の発想で飼いならす、それは、主体性の剥奪、人間性の破壊以外ではありません。
 私たちは、飼いならされたコトバから、自分の“ことば”あるいは、自分たちの“ことば”を回復しなければならないと考えます。というより、“ことば”はもともと、私たち民衆のものであったはずです。生産・労働の過程で、民衆相互の連帯、民族のあすの創造を保障したのが、母国語であったはずです。そういう母国語本来の実践的機能に即して、自分の“文体”をつくりあげていくことが、国語教育に課せられた任務だと考えます。そうしたいとなみを私たちは“文体づくりの国語教育”と呼んでいます。
 そして、民族の課題に応える文体づくりのための、教材体系(教科書)の具体化をすすめています。と同時に、新しい文体獲得の方法として“印象の追跡としての総合読み”を提唱しています。それは、自分の発想と、文章が示す発想とを対決させる読みです。対決をとおして、自分の発想を点検し確かなものに変革していくような読みをいいます。

活 動
 毎月二回の研究例会のほかに、グループ別学習会がおこなわれています。たとえば、戸坂潤全集をテキストにした理論研究や、小・中・高校別の実践交流会などがそれです。また、夏の大会のほかに、年二回(春・冬)の合宿研究会を計画し、徹底した討論と同時に、地方会員との交流をはかっています。
 そうした研究会での成果は、機関誌『文学と教育』(隔月刊)で公開します。また、私たちの研究をまとめたものに『文学の教授過程』『中学校の文学教材研究と授業過程』(明治図書刊)、『文体づくりの国語教育』(文教研出版部刊)があり、また、文教研の理論に焦点をあてた、熊谷孝(常任委員、国立音大教授)著『言語観・文学観と国語教育』(明治図書刊)があります。

会 員
 会費 月額二〇〇円です。会員は、総ての研究会に参加できます。また、機関誌『文学と教育』および文教研ニュース、月例研究会資料を配付します。なお、機関誌だけを配布する、準会員制があります(誌代六号分、六〇〇円を前納)。事務局は、東京都三鷹市・明星学園内。(口座振替・東京九九六一六)


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