初期機関誌から
「文学と教育」第17号 1960年8月30日発行 |
子どもの認識をはぐくむ国語教育―夏期研究集会報告特集― |
16号ですでにお知らせいているように、日生連、全青教、体育同志会と共催の夏期合宿研究集会は、八月六日から九日にわたって東京・日本青年館でひらかれた。私たち文教研は、国語部会と、特別分科会・芸術と認識 を担当した。 国語部会には、北海道から九州に至る地域の方々が約三十名参加した。また、小・中・高・大の教師が会員として参加したのも一つの特色といえよう。講師には、作家・教育学者として第一線に活躍しておられる吉良敏雄先生をおむかえした。 第一日は、福田さんの司会のもとに自己紹介をかねて、現場の当面している課題が提出された。私たちは、この問題提起をふまえて、次のような視点で部会を進めることを確認した。 (1) 指導要領方式の学習領域別小分科会構成によらず、統一的視点に立って国語教育の構造的本質をさぐり、そのことで逆に、領域分化の原理を具体的につかむこと。 (2) 実践報告を中心に、小・中・高・大を一貫して、子どもの「全面発達」をささえる国語教育のあり方を、方法的・段階的に明らかにすること。 第二日は、第一日の問題設定をふまえて、鈴木勝さん、熊谷孝さんから全体提案があった。第二日の司会は、佐藤和夫さん。 鈴木さんは、学習指導要領の言語観、文学観、教育観の厳密な批判のうえに、国語教育の機能的本質を探究し、そうした原理への検討こそ、現場の実践を質的におしすすめるものであると強調した。熊谷さんは、第二信号系としての国語を教育することはどういうことか、という問いにはじまって、国語科の論理と成熟の論理の結びつきをさぐり、具体例を駆使しつつ、全面発達への展望を示された。本号掲載の論稿は、当日の提案をその後の批判・検討をふまえて全面的に書きおろされたものである。 第二日夜の部は、小学校低学年・福田隆義さん、小学校高学年・篠原由喜子さん、中学校・鈴木勝さん、永野一成さん四人の実践報告があった。今回は紙面の都合上、福田・篠原両氏の報告を掲載した。 第三日は篠原さんの司会で、吉良敏雄・佐藤和夫・荒川有史の三氏が中・高の部を報告した。全体討議の問題点については、本号の“成果と反省”を参照していただきたい。 |
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