初期機関誌から

「文学と教育」第3号
1958年12月30日発行
 今日の課題――国語教育の側面から 

 十二月二十七日・二十八日の二日間にわたって、日本生活教育連盟の第十回総会・研究集会が、東京九段会館でもたれました。
 第四部会「教科による生活教育の問題を――新指導要領の検討を中心として」の第一分科会には、助言者として熊谷孝先生、提案者として木村敬太郎さんが参加されました。また、私たちのサークルからも、この分科会には、鈴木勝、篠原由喜子、前田幹枝、徳永桂吾、荒川有史、小川勇のみなさんが参加しました。
 木村さんは、
 国語科による生活教育がいったいなりたつのかどうかという疑問から出発し、国語科には国語科としての任務、方法があること、したがって生活教育一般にけっして解消されはしないこと、またどの学科も生活指導的側面はもっているけれども、あくまで各教科独自の機能によって世界観の形成につながるのであって、理論と実践の問題を媒介にして、“生活”と“教育”との関連を明らかにしていきたいことを、実に厳密に批判・検討されました。その上で、新指導要領批判が簡潔に行われました。今までは、裏口営業といった形で要領をネグレクトしてきたが、今後はそうした形さえ圧迫されようとしており、新指導へのうむことない批判が必要だ、と力説されました。
 熊谷先生は、生活教育の“生活”があいまいな言葉であることをまず指摘し、私たちは“生活”をどう把握するか、国語生活という側面にしぼって生活をどう考えるか、現実の子どもたちは、どういう観点から見て“弱い”のか、子どもたちを民族の子として育てるために、私たちはどういう文学観言語観をもたねばならないか、と問題の焦点を指示された。

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