文教研 【私の大学】
第66回全国集会



文学史を教師の手に

 “文学教師”――それは、自身に文学を必要とし、また、文学の人間回復の機能に賭けて、若い世代の“魂の技師”たろうとする人々のことである。そういう人々の中には、当然、学校教師もいるだろう。当然また、人の子の親や、兄や姉もいるだろう。限界状況の一歩手前まで追い込まれた、日本の社会と教育の現状は、今、まさにそうした人々の文学教育への積極的な参加を求めている。


文学教育研究者集団
 

  今こそ、真の“対話体験” を文学教育で
 
――井伏鱒二「さざなみ軍記」と井上ひさし「ナイン」
*
《期 日》 2017年8月5日(土)~7日(月) 
《会 場》
大学セミナーハウス 大学院セミナー室 (東京・八王子)


   「大学生の読書時間 『0分』 が 5割 に」 という記事に関してどう思うか。新聞に掲載された読者からの投稿を読んで改めて気づいたのは、「読書した」といっても、「読書」という言葉に託された意味は様々だということだ。たとえばAさんは、高校生までは全く読書しなかったが、それで困ることは特になかったという。大学では教育学部なので、教育や社会一般に関する書籍を幅広く読むようになったが、読書が生きるうえで糧になると感じたことはない。「(本は)読んでも読まなくても構わないのではないか。」

 だが、Mさんの場合、読書は、自分の人生・生活の中でかけがえのない一部となっている。Mさんが読書を始めたのは大学受験勉強を終えてからだったが、Mさんにとって読書は<出会いの場>だった。19世紀初頭の哲学者ヘーゲルと出会い、14世紀のダンテと出会い、また、現代人や日本人にもたくさん出会った。「いかにたくさんの人と出会うかが読書なのだと思います」とMさんは書いている。Mさんの内部にはこうして出会った様々な人々(私の中の私たち)が生きており、彼らは、人生の様々な局面で、Mさんを支える大切な相談相手となってくれたのだろう。

 AさんとMさんの読書体験はどこが違うのか。あえて単純化して言えば、Aさんの読書は、「役に立つと思われる知識・情報をつまみ食いしようとする読書」=「使い捨ての読書」だ。だから、読んでも読まなくても構わないということになるのだろう。それに対して、Mさんの読書は、自己の人格・メンタリティーの中核を創っていく「対話体験としての読書」である。

 文学作品を読む場合、前者のような姿勢の読書では、その作品の世界は、自分の心に全く響いてこないだろう。文学者は、自分たちが人間として生き貫くうえで向かい合わなければならない問題について、読者たちとともに対話の中で思索する場として、作品の世界を創造している。したがって、その対話の場に参加していく姿勢で読んでこそ、その作品と本当に出会うことができるのだ。そして、そういう「対話体験としての読書」を積み重ねることが私たちの内部に真の対話精神を培っていくことにもなるだろう。

 今回は、「さざなみ軍記」「ナイン」の読みを通して、対話体験とは何か対話精神とは何か、また、文学教育の課題について考えていきたい。

  《日 程》
      8月5日(土) 8月6日(日) 8月7日(月)
午前
9:30









12:00









12時50分までに受付を済ませてください。)


* 「原爆を許すまじ」

中間総括


3.ゼミナール
  
  
井伏鱒二
   「さざなみ軍記」 
         

中間総括


4.ゼミナール
  
井上ひさし「ナイン」



午後   1:00











5:00
(予定)
午後1時開会

1.あいさつ



2.基調報告
  
  
文学教育の原点をめぐって
 
          井筒満
                      



* 生活案内

ゼミナールの続き)

ゼミナールの続き)








5.あいさつ


午後4時終了予定

7:00





9:00
(予定)

交流会(参加自由)



ゼミナールの続き)

  
 《テキスト》
井伏鱒二 『さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記』 (新潮文庫)
井上ひさし 『ナイン』 (講談社文庫)
  

 《参考文献》
熊谷孝著 『井伏鱒二 〈講演と対談〉』 (鳩の森書房/1978)
② 佐藤嗣男著 『井伏鱒二 山椒魚と蛙の世界』 (武蔵野書房/1994)
③ 文学教育研究者集団著 『井伏文学手帖』 (みずち書房/1984)
④ 『文学と教育』 №216(こうち書房 2012)「座談会・井上ひさし『ナイン』『握手』をめぐって」
  
 《費 用》
①参加費:(資料代、連絡・広報・運営費、大学院セミナー室使用料・施設分担金を含む)
全日参加…13,000円 (学生 10,000円)
2日間参加…10,000円 (学生 8,000円)
1日のみ参加…5,000円 (学生 4,000円)
    ※資料のみの場合:2,000円 
②宿泊費1泊 4,110円 
③食事代朝食 550円、昼食720円、夕食 1,130円
(全日参加の場合 2泊3日②+③:6食分…13,020円)
     
※宿泊施設には基本的にバスタオルとフェイスタオルしか用意されていません。寝間着や歯ブラシなどはご持参ください。(フロントにて浴衣205円で貸出し、歯ブラシ20円で購入も可能。) 
   
《申込み手続き》
申込み用紙(振込用紙を兼ねる。プログラム等に添付してお配りしています)に必要な事項を記入し、
         費用全額①参加費+②宿泊費+③食事代)を郵便局でお振込みください。
  
※申込み用紙がお手元にない場合は、事務局(下記)までご請求ください。
※参加中止の場合、宿泊費・食事代に関しては、条件に応じてセミナーハウスから請求されるキャンセル料金をいただき、残りを返金いたします。
  
 《申込み期間》  6月1日~7月25日
  
 《問い合わせ および申込み先》
文教研事務局(画像)
  
 《交 通》
JR中央線 新宿――八王子(約40分)
JR横浜線 新横浜――八王子(約50分)
  ・JR八王子駅南口より京王バス
     ①番のりば 南大沢方面行(約20分)、野猿峠(やえんとうげ)バス停下車、徒歩約8分
   ・タクシー(約10分)  
京王線 新宿――北野(約40分) ※特急・準特急・急行など、すべて利用可能。 
  ・京王線北野駅北口より京王バス
     ③番のりば 南大沢方面行(約10分)、野猿峠バス停下車、徒歩約8分
     (チラシ記載の「①番のりば」は誤りにつき訂正します。)
   ・タクシー (約5分)
京王相模原線 南大沢駅
     ・京王バス
       ④番のりば 八王子駅方面行(約20分)、野猿峠バス停下車、徒歩約8分
     ・タクシー (約15分)
・ 第1日午後1時開始のためには、バス便の点などからみて、JR八王子駅の場合遅くとも午後0時までに到着する必要があります(北野駅の場合はそれより多少遅めでも可)。
・ 受付での手続きは開会10分前(12時50分)までにすませてください。受付の係も研究会に参加しますので。

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