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むごすぎないか 流木 ◆ 遺族に賠償命令 認知症の男性が線路内に入り、列車にはねられて亡くなった。 裁判所は、この男性の遺族に対し「事故を防止する責任があった」として鉄道会社に720万円の支払いを命じる判決を出した。 酷だなあ、と思った。 記事を読んでみると、当時(2007年)91歳の男性は<要介護4>で、85歳の妻と介護のため近くに転居してきた長男の妻がめんどうを見ていた。 ところがその日、嫁さんは片付けものがあってちょっと義父から離れ、妻はそばにいたのだが、疲れのためについまどろんでしまった。そのわずかな隙に男性は外へ出てしまったというのである。 この妻と長男に対して、裁判所は「見守ることを怠った」と断じたのである。 小泉政権以降、国の介護方針は「施設から在宅へ」となった。 導入に当たって「住みなれた地域や住まいで過ごしたいという、介護を受ける多く人の願望にそった施策」だと説明された。 しかしこれは、どうも施設を整える予算を削り家族の善意にいっさいを任せる仕組みのようなのだ。 当時、福祉にかかわる人からは安定した保健医療や在宅サービスが確保されていなければ家族の負担が重くなるだけだと批判が出ていた。 その施策の結果のひとつが、この賠償命令だといえよう。 これは、むごすぎないか。 ◆ 解雇特別特区 若い世代も、派遣労働の規制緩和以降、冷たい仕打ちのなかにおかれつづけている。これも胸つぶれる思いで読んだ記事のひとつだ。 長男を<過労自殺>で亡くした父親が取材された記事である。 ・・・息子は、大卒後の5年間をアルバイトなど非正規労働者として働き、ようやく4カ月前に正社員になれた。27歳であった。当時「やっと正社員になれたよ」という息子のことばに、いっしょによろこんだ。 息子が勤めたのは、大手飲料メーカーの孫請けで、自動販売機に清涼飲料水を補充する会社だった。求人広告に書かれた勤務時間は「午前7時15分から午後4時15分まで」とあったが、実態は朝6時台に出社して飲料水を運ぶトラックの洗車を済ませておかなければならなかった。 そして自販機を回り、商品補充を終えて夕方帰社するのだが、翌日分の積み込み作業と在庫管理などに追われ、帰宅は深夜になった。 補充自体も過酷な肉体労働で、自販機の故障や客からの苦情があれば急行しなければならない。 「倒れそうです」。自殺1週間前の日報にはこう記してあった・・・ こんなかたちで息子を失った父親の、その辛さがたまらなかった。 この報道といっしょに、<ブラック企業>や<追い出し部屋>などの実態もつぎつぎ目に飛び込んできた。 まじめに働く若者が「過労死か、貧困か」の二者択一をせまられ、使い捨てにされている現状を、日々、目にしなければならない苦痛、たまらない。 ところが、そんなことはおかまいなしに、このたび「解雇特別特区」という案について首相が厚生労働省に検討を指示したという。 すでに、日本のいたるところ解雇特区なのに・・・さらにそのうえに公然と<使い捨て御免>のお墨付きを与えようとするらしい。 ことばがない。 ◆ こんなつぶやきでも 経産省の役人が、匿名ブログで「もともと被災地は、ほぼ滅んでいた。復興は不要だ」と書き込んだ。復興庁の役人は、ある市民団体のことを「左翼のクソども」とツイッターに書いた。 もしかすると、そういう冷たい言動を許す素地が日常的に役所の中にあって、このような書き込みになったのではないか、・・・と思った。 バイト先の冷凍庫に入った画像をみずからツイッターにアップして面白がるような<バカッター>事件も、あれは仲間うちで、その言動を許す雰囲気=素地があって生じている現象だと思っている。 この省庁の役人の暴言も、それに似ていると思った。 そう思いながら、ふと弱者にたいする今の政治の冷たさは、あんがい私たちが<自己責任論>のようなかたちで、その素地をつくっているところがあるのかもしれないと思い至って、胸がちくりとした。 今月の通信は、ただ「むごいなあ」とか「心が痛んだ」いうだけの、なんの力にもならないつぶやきで終わったが、こんなつぶやきでも、いま書いておきたかったことを書いた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 〔ざぶらん通信〕 作 者:流木(RyuBqu) 編集者:風間加勢 発行日:毎月15日発行 ご意見、ご感想は掲示板「浜辺の語らい」にお寄せ下さい。 http://www.geocities.jp/ryubqu88/(旧) |
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