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┏━━━ Za-an,Zabran,se-er,……Zabr'n,za-an,se-er━━━┓ ┃ ┃ ┃ ざぶらん通信 2009年10月15日(木) NO.073 ┃ ┃ ┃ ┃ 発 信 流 木 RyuBqu ┃ ┃ ┃ ┃ 光┃や┃風┃に┃触┃れ┃な┃が┃ら┃ ┃ ┗━━━━━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━━━━━┛ 村上春樹つながりの雑談もあったりして RyuBqu 10月4日(日曜日) 年若い友人が、3人つれだって遊びに来た。少し汗ばむほどの陽射しの、い いお天気だったのでビールとつまみを持って海岸へ出た。 きのうの昼間は激しい雨だったが、夜には晴れて、中秋十五夜の月を愛でた。 その雨に洗われたからか、きょうハマヒルガオの丸い葉は、艶やかだった。 これらの海浜植物が根を張る砂浜の小高いところに腰をおろし、サーファー たちの波乗りを見ながら歓談した。 ◆ ホームレス いつも散歩の折に見かけるホームレスの老人が、背中を青いシートでおおっ て、私たちのいる砂防垣の脇を抜け、片瀬のほうへすたすたと歩いていった。 それを見送りながら、S君が「風格があるなァ」ともらした。確かに褐色の 肌をした痩身の老人は、実に思慮深い顔立ちをしているのだ。 「私たち〈インドの哲学者〉って、ひそかに呼んでるのよ」と家内が言った。 それで、ふと思い出して「作家の村上春樹がね、ずっと昔、この海岸で筑紫 哲也そっくりのホームレスを見たということを書いててね・・・」と話した。 ・・・彼が、週刊誌の記者にそれを伝えたら、翌週の雑誌グラビアに〈こら あ、テツヤ!〉というタイトルで、そのホームレスのおじさんがばっちりアッ プで出ていたそうだ。 そこでの村上春樹の反省の弁が面白いんだ。 ・・・せっかく自由気ままにやっていたのに、僕のおせっかいで〈あ、うち のお父さんがこんな所に!〉なんてことになったのじゃないか、記者にはうか つなことをしゃべっちゃいけない。反省しよう。というわけなんだが、でも今 度、もし久米宏にそっくりなホームレスを見たら、やはりまた〈ねえねえ、知 ってますか〉と電話をかけちゃいそうな気がする、というエッセイでね・・・ そんなことを言い添えた。 みな大笑いしながら、ひとしきりホームレスについて、それぞれのエピソー ドを披露しあった。 「ずっと前、飲みすぎて帰れなくなったとき中野駅の構内で、友だちと新聞 紙を敷いて寝たけど寒くてダメで、困っていたらホームレスのおじさんが、ダ ンボールを貸してくれたことがあって・・・」というU君の話には、腹の皮が よじれた。 ◆ 猫 ここは犬を連れた人の散歩が多い。ずいぶん小型犬が増えた。猫より小さい 犬とすれ違うときには、うっかり踏みつぶしはしないか心配になるほどだ。 飼い主の前後を、リードをはずされた大型犬が嬉しそうに走る、あの波打ち 際の散歩風景は、あまり見なくなった。ちょっとした風景の変化だ。 「また村上春樹だけど、彼が飼っていた猫は、散歩についてきたというね」 「ほんとですか。人と一緒に散歩するネコ、ですか・・・」I君が驚く。 「俺は、リードをつけて散歩してる猫、見たことあるよ」とU君。 「作家の、その猫はリードなしで、ちょこちょこ後をついてきたそうだよ」 みな、「へー」という顔をした。 ・・・国立(くにたち)の一橋大学のグラウンドに連れて行って400mト ラックを一緒に走ったことがあるそうでね。いちど200mほど後をついて走 ったけど、それ以上は無理で、そこに立ち止まって、腹いせにウンコをしたと 書いてあったね。プライドの高い猫で、それを傷つけられると嫌がらせに脱糞 するクセがあったと言っている・・・ これにも、みんな笑った。 「やっぱりこの話しでも、結びの所が面白いんだ。〈一橋大学のトラックの 真ん中に、二十年前にぽつんと落ちていた猫のウンコは、だからうちの猫のも のです。すみません〉とあってね・・・」と紹介した。 「なんだか、長新太の絵の世界を連想させて、そこはかとなくおかしいです ね」と、S君が笑いながらこたえた。 「この脱糞事件が1970年代初めの頃とすれば、くにたちで40年あまり を過ごした私たちには、とりわけ面白くてね・・・」と私はつづけた。 以前、この話を読んだとき、3人の子供を連れて大学構内で遊んだその頃の 光景が私の頭の中をよぎったものだった。兼松講堂前の池でラジコンの潜水艦 がブクブク潜ったまま再浮上しなくて、長男を落胆させた光景も浮かんだ。 そして、400mトラックで駆けっこしたり凧をあげたり、キャッチボール をした四季折々が回想された。 一橋大学構内でのそんな思い出を、みんなに話してから、「この記憶に、こ のエッセイを重ねるとね・・・村上春樹の猫のウンコをうちの子たちが踏んづ けて〈こんなところに、ウンチしちゃあ、イケナインダヨネ。オトウサン〉と 5歳のむすめが大騒ぎしたかもしれない、という空想が成り立つわけで・・・ まあ、どうということはないんだけど私には二倍楽しめたエッセイだったね」 なんていう話もした。 そのころ、わが家でもエムと名づけたトラ猫を飼っていたけど、彼がわれわ れと一緒に外出するなんてことは一度だってなかった。でも、エムの重さを膝 上に感じながら、彼とコトバを交わした、あの家の日々はどこか懐かしい。 ◆ ジャズ喫茶 〈香房〉はジャズが流れる喫茶店だ。レコードで聴かせるというほど凝って はいないが、いい曲が流れる。 この季節には、サムシン・エルスに収められているマイルスの「枯葉」とか マル・ウォルドロンの「レフト・アローン」のようなジャズを聴きたい。 海岸からの帰りがけに〈香房〉へ寄ろうかと言いながら、その戻り道でふと 東の空を見ると、金色の大きな月が昇りはじめていた。 それを見ると、なんだかみんな里心がついてしまったのか、このまま戻りま しょうということになった。 わが家のCDとコーヒーでひと休みして、3人は帰っていった。 ここでも村上春樹つながりで、国分寺の〈ピーターキャット〉にふれたジャ ズ喫茶談義などがあったけれど、この通信では、くどくなるので書かない。 こんな日もあったという、2009年10月の通信です。 追伸 11日の日曜日には「横浜ジャズプロムナード2009」に行き、まる一日、 ジャズに浸りました。 開港記念館ホールでは「中村誠一&JAZZ CREW」と「大隈寿男トリ オ」の演奏をたっぷり楽しみました。 このレンガ造りの歴史的建造物(ジャックの愛称をもつ時計塔で知られてい る)で、ジャズの演奏会というのが、洒落ていますね。 大隈トリオでピアノを弾いたハクエイ・キムさんはすらりと背が高く、容姿 がアニメの美青年風。その華麗な演奏には引き込まれました。家内などはもう うっとりです。 演奏終了後、ロビーでキムさんにカメラを向けたら「一緒のところを撮りま しょうか」と声をかけてくれた人がいたので、「あ、お願いします」と言って 振り向けば、先ほど、大隅寿男さんの紹介で「レフト・アローン」を吹いた息 子の大隈卓也さんでした。 私たちはキムさんを真ん中にして写真におさまりました。 そして「韓流オバサンをやってしまったわ」と家内はうれしそうに言いなが ら、今年の記念Tシャツも買いました。 あいかわらず私たちはミーハーです。 記念館を出ると、もう5時だったので、家内は疲れたといって帰りましたが、 私はそのあと、ジャズクラブで食事をとりながら今田勝トリオの演奏を聴いて 9時すぎまで過しました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 〔ざぶらん通信〕 作 者:流木(RyuBqu) 編集者:風間加勢 発行日:毎月15日発行 ご意見、ご感想は掲示板「浜辺の語らい」よりお寄せ下さい。 http://www.geocities.jp/ryubqu88/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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